多田野 フー子
☆わたしはマギー
マギー 買い物に走る 《前編》

                                                         
大学生のマギー

ハーフ
167センチ
髪は明るい茶色、目は「はしばみ色」
生まれ、育ちはアメリカ。
お父さんが、日本人。
でもどこからどう見ても、キュートで明るいアメリカ娘。

アメリカにいた時から、日本語学校に行き、漢字のドリルはもちろん、日本の学科やお習字、そろばんも習っていた。

家の中ではお父さんと日本語で話し、夏休みは日本で過ごすことも多かったので、日本語は完璧。変なアクセントもなく、とてもきれいな日本語を話す。
現在日本の大学生。


叔母さんの知り合いに旅行添乗員がいて、アシスタントを頼まれた。
豪華な昼食につられて、一日だけバイトをすることにした。


今日は、浅草周辺を観光案内。
お客さんは大部分が中国人、そしてイタリア人のカップルが一組のご一行様。

仲見世で、人形焼きやお煎餅の実演販売をひやかし、浅草寺でお参り、線香の煙を頭や身体にかけて厄除け。

マギーはツアーのお客様が、迷子にならないように、後ろで見張り役。


その間も元気な中国人観光客がマギーに話しかける。

冬なのにSHISEIDOのカーマイン ローションを買いたいという。
それも30本。

一本400円と安いし、なんといってもSHISEIDOのブランドは、お土産に最高なんだという。

「マツキヨ、ドコ?」
マギーは 「昼食の後で自由時間がありますよ。」

レストランに到着。
やっと昼食。

イタリア人カップルは、
「和食よりパスタが食べたい気分なんだよね。お勧めのお店ある?あまりお金はかけたくないんだけどなぁ。」

マギーの頭にひとつのお店がひらめいた。

サイゼリアだ。

外に出て、「あそこにある緑色の看板が見えますか。あのお店、オススメです。」
イタリア人 「じゃあ、行ってみるよ。」

友達と毎週のように通っているから、メニューだって暗記している。
味もいいし、料理もすぐ出てくる。とても居心地もいい。

でも、パスタの本場のイタリア人に勧めてよかったのかしら…。


ツアー参加者に食事が渡ったのを確認。

さあ、待ちにまった豪華な昼食だ。
「いただきます」と、箸を取ったとたん、

中国人の参加者が、
「あなた、何、食べる。
あなた、私の買い物、早く見つけて来る。今すぐ。」

マギーは添乗員さんに視線で助けを求めたが、彼女は首を振るばかり。
「ごめんね。これも仕事の内なのよ。」

しかたなく、昼食はあきらめて、お客さんから買い物のメモを預かる。


・SHISEIDOのカーマインローション、30本
・栄養ドリンク
・美容パック
・ハンドクリーム
・マスク
などなど…。

やっとの思いで両手に大量の買い物袋を下げて、レストランに帰る。


「あぁ、君を待っていたよ。」
今度は中国人の男性客。

鍋を買いたい。



・・・・・《後編》へ続く


もくじ