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2017.2.2
前川建築を観光資源に 弘前市など8自治体 活動本格化 誘客促進へ戦略も
 
       
 建築家前川國男(1905〜86年)の手掛けた建築物を利活用している弘前市など8自治体による「近代建築ツーリズムネットワーク」(会長・葛西憲之弘前市長)が1日、本格的な活動を始めた。東京都内で開いたキックオフイベントで、ロゴマークとキャッチフレーズ「世界が認めた文化を、日本の価値に」を発表。今後は戦略を策定した上で前川建築など近代建築の観光資源化を進め、参画自治体への誘客に努める。


ロゴとキャッチフレーズを発表した葛西市長ら(中央)=1日、東京都内
ネットワークは、前川が師事したフランス人建築家ル・コルビュジエによる国立西洋美術館(東京都)など建築作品17件が昨年7月に世界文化遺産に登録されたことを契機に、同年11月に発足。

 弘前市、埼玉県、東京都、神奈川県、岡山県、熊本県、福岡市、新潟市が参画しており、弘前市によると、8自治体合わせてネットワークに加わる主な前川建築は、弘前市役所など同市の8件を含めた計24件。

 キックオフイベントには参画自治体の関係者ら約50人が出席。事務局の弘前市が活動の趣旨などを説明し、講話した京都工芸繊維大学の松隈洋教授が「ネットワークが発足したのは、前川が作品に命を込めようとした建築家だったからだ」と語った。

 発表されたロゴマークは日本を象徴する日の丸の中に、ARCHITECTURE(建築)の「A」、MODERNISM(近代主義)の「M」をデザイン。キャッチフレーズは、日本の近代建築が世界に誇る文化であることを理解してほしいとの思いを込めた。

 ネットワークは2017年度、前川建築の魅力を発信して誘客するための戦略を策定し、共同イベントを開催。18年度には、ボランティアガイドの育成やモニターツアーなども行う計画という。

 ネットワークの活動が本格化したことを受け、葛西市長は「前川建築の価値を保存して磨き上げ、観光ツーリズムに組み込んでいきたい」と改めて意欲を示し、8自治体の連携が前川建築の価値を顕在化させる上で非常に有効だと強調した。