首都圏TOPIX 前の記事 もくじ 次の記事

2016.5.29
「部屋を持つ」夢に一歩 大相撲  若の里、断髪式で決意
 
       
 昨年9月の大相撲秋場所前に引退し、年寄「西岩」を襲名した元関脇若の里(39)=本名古川忍、弘前市出身、田子ノ浦部屋=の襲名披露大相撲・断髪式が28日、東京・両国国技館で行われ、人気を集めた正統派力士の功績を多くの観衆がたたえた

断髪式を行った元関脇若の里(中央)
=28日、東京・両国国技館
 襲名披露大相撲・断髪式は若の里弘前後援会(会長・葛西憲之弘前市長)が主催し、若の里は「最後の一番」として元小結高見盛の振分親方(40)=板柳町出身=と熱のこもった取組を披露した。

 続いて、葛西市長が「西岩親方は現役時代、力強い寄りでファンを魅了し、勇気と希望と感動を与えてくれた。今後は“第2の若の里”を育ててほしい」とあいさつ。
  断髪式では、角界や家族、元プロ野球巨人の桑田真澄さんら著名人合わせて約400人(主催者発表)がまげにはさみを入れ、最後に田子ノ浦親方(元幕内隆の鶴)が大いちょうに「止めばさみ」を入れると、若の里も感極まって涙を拭った。

 断髪式の後、若の里は「寂しさと新しい人生に向かう新鮮さが交じる複雑な心境だが、これからは部屋を持つという夢に向かって努力する」と語り、妻の彩さん(40)も「夢がかなうよう頑張ってほしい」と述べた。


同志と最後の一番 振分親方 引退に花 気合い注入観衆沸く 
 誠実な土俵態度と左四つの力強い取り口で知られた大相撲元関脇若の里(39)=弘前市出身=が28日、東京・両国国技館で行った年寄「西岩」の襲名披露大相撲で、元小結高見盛の振分親方(40)=板柳町出身=と「最後の一番」を取った。同郷で、人気力士同士の取組は現役時代に劣らぬ熱戦で、観衆を大いに沸かせた。

引退相撲を終え、元小結高見盛の振分親方(右)から
花束を受け取る元関脇若の里
 2人は小学生の頃から相撲を取ってきた仲で、幕内での対戦成績は若の里の22勝4敗だった。
 
 この日に備えて2人ともけいこを重ねてきたといい、取組前の仕切りも次第に緊張した雰囲気に。若の里がまわしを何度か強くたたくと、振分親方は気合を入れる得意のパフォーマンスで館内を沸かせた。

 取組では振分親方が立ち合いから果敢に攻めて若の里を土俵際に追い詰めたが、そこで若の里が地力を発揮して逆に寄り切ると、大きな拍手が送られた。最後は振分親方が若の里に花束を贈り、観衆の声援に一緒に笑顔で応えた。

 若の里は「(振分親方は襲名披露大相撲に)ふさわしい相手。“気合注入”のパフォーマンスもだいぶサービスしてくれ、お客さんが喜んでくれた」と取組を満足そうに振り返り、振分親方は「ともに新弟子をスカウトし、強い力士を育てていくことが理想」と語った。


土俵一筋たたえ感慨  父の遺影と家族ら見守る
若の里の断髪式を、父善造さんの遺影(手前)とともに
見守った母キヨさん(左)と姉めぐみさん(中央)ら
 東京・両国国技館では、若の里の家族・親戚ら約30人が昨年9月の引退直前に亡くなった父古川善造さんの遺影とともに断髪式などを見守った。

 弘前市に住む兄古川善一さん(49)は振分親方との取組を披露した若の里を見て「まだ相撲を取ることができるような気がするが、これからは弘前出身の力士を育ててほしい。地元の子どもが相撲に興味を持てる環境をつくりながら支援したい」と語った。

 都内で介護関係の仕事をする母キヨさん(72)は「これまで相撲に関して相談を受けたことはない。それだけ(若の里は)意志が強かった」と相撲一筋に生きてきた息子をたたえたその上で善造さんがこの日の若の里を見ることができれば「涙を流して言葉にならないでしょう」と述べた

 同市に住む姉?西めぐみさん(44)は「『お疲れさまでした』と言いたい。今後は立派な弟子を育ててほしい」と語った。