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2016.4.8
アパレル産業発展を 来年首都圏で展示へ
 
       
 弘前市のアパレル産業振興を狙い、市、市内の縫製会社、世界的なファッション教育機関「エスモード」が今年度から連携する。
同機関の学生らの洋服デザインを、市内の縫製会社が素材メーカーの余剰生地を使って製品化、来年早々に首都圏の百貨店での展示・販売を目指す。
若手デザイナーが活躍できる場の提供、縫製会社の企画力アップ、廃棄される余剰生地の活用と一挙に三つの課題解決を目指しており、全国でも例のない挑戦的な取り組みだ。


弘前市のアパレル産業振興を目指して握手を交わす
葛西市長(右)と仁野代表=7日、東京都内
 この取り組みは市の2016年度予算に「リサイクル・サスティナビリティー・ファッションプロジェクト」(約530万円)として盛り込まれた。

 弘前市内の縫製会社は技術力に定評があるが、その多くが受注生産型で、一層発展するためには企画・デザイン力の向上が求められている。
一方、全国的には若手デザイナーの受け入れ態勢不足、素材メーカーの試作品が活用されることなく廃棄されるといった問題もある。

 これら三つの問題を一挙に解決しようと、同市で毎年開かれるファッション甲子園のスポンサーを務めるエスモードと市が議論を交わす中で、今回のプロジェクトが生まれた。

 市内の縫製会社8社でつくる弘前市縫製企業協議会のうち数社が参加することになっており、洋服のデザインはエスモードの卒業生・学生らが担当。事業全体をエスモードがプロデュースし、縫製会社と卒業生・学生のマッチングを市が担う。製品は小ロットで生産する。

 7日には東京都内のエスモードジャポン東京校で、葛西憲之市長、エスモードインターナショナルの仁野覚(さとる)代表が会見し、事業の詳細を説明した。

 葛西市長は「市内の縫製会社のレベルは非常に高い。(プロジェクトを契機に)企画・デザイン力を磨いてもらい、アパレル産業を新たな形で根付かせたい」と抱負を語った。

 仁野代表は「ファッションが本来持つ情熱や発信力を若い人は持っている。小規模でも新たな価値観で日本を活気づけてほしい」と期待を寄せた。

 同日は、市が仁野代表を「国際化推進アドバイザー」に委嘱した。仁野氏はファッション分野に加え、市内の伝統工芸などに関する情報を世界に発信するため助言していく。