2006/09/20
「水色のヘアピン


ひyoこchanへ

最近の女の子達は前髪を横に分けて、かわいいヘアピンをちょこんとつけてて、
めんこいこと。

そのヘアピンを見たら思い出したじゃ。
おらが小学校の高学年の頃のことだったびょん。

一つ年上の幼なじみとどこかへ遊びに行った帰り道だったんだべね。
洋品店の前を通りかかったら、店の前には色とりどりのヘアピンが飾って置いてあったのさ。
台紙に張り付いたそれらはぶらぶらと店の前の陳列棚にふらさがってだ。
その中にぴかぴか輝く水色のヘアピンがあったわけよ。

「これめんこいな」
「うん」
などと言いながら二人であれこれ眺めていた時、幼なじみが
「これもらって行くか?」って水色のを手に取ってさらりと言った、ように記憶している。
田舎の町外れの洋品店だもの。店はガランとして、お客さんどころか店の人もどごさ行ったもんだかさ見えね。その通りにいるのだっておら達二人きり。
やばいよなあ、こういうの。非行の温床っていうの?結局もらってきてまったよ。誰もあげると言ってないのに。

今だにあのザラザラした気持ちは忘れられないな。
オ母チャン見ればそれどしたの?って聞くに決まってる。
なんてしゃべるべ。
どすべえ。
叱らいる。
どすべえ。

水色のヘアピンのデビューは果たされることなく、シールやグリコのおまけでいっぱいの引出しの中に押し込まれたまま、いつの間にかなくなってしまったじゃ。

おかげさまで(って言うのも変だばって)おらはその後の思春期も反抗期も、万引きだけは縁なく通り過ぎて大人になれだのさ。
その洋品店も今はバリッとしたブティックになってまったじゃ。
しおまめこより     
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