東京雑感   サラブレッドに見惚れたじゃ 2009.6.25

 「臨場感があるんだ」

 東京競馬場って? 中山競馬場は千葉県船橋市にあって、東京競馬場は府中市にあることから競馬ファンの間では府中とか府中競馬場とも呼ばれている。

 東京競馬場に府中競馬場?、それに大井町にも競馬場があるので、素人の自分は混同して場所がよく分からなかった。
 学生時代に世田谷の馬事公苑を歩いた記憶があり、そのイメージが脳裏に焼きついてもいる。もっともそこは競馬ではなく馬術なんだけれど。

 過日、JRA(日本中央競馬会)の招待で東京競馬場を訪れた。土曜日だったが、白熱したレース展開にメーンスタンドから歓声が沸いた(写真1、2)。郷里には弘前市郊外の田舎館村に場外馬券売り場があるが、むせ返るような本場の熱気、レースの臨場感に鳥肌がたった。

 
 「くつろげる場所だじゃ」

 東京競馬場は日本ダービー(東京優駿)やオークス(優駿牝馬)、天皇賞、ジャパンカップなど、数々のGTレースが行われる主要競馬場。先の安田記念は8万人が詰め掛けた。
 招待されたのは全国新聞東京支社長会の面々で、通されたのは8階の特別来賓室。皇族方の貴賓室もあって、一般は立ち入れない場所。
 レーストラックを望むメーンスタンド側はオープンビュー。全面ガラス戸になっている。最上階の9階は業務用として写真判定室などがあるそうで、自分らはスタンドの最も高い位置からの観戦。見晴らしが抜群だった(写真3)
 馬券の発売機は8階専用なので混み合うことがない。いすに座ってモニターも見られて、ゆったりした気分。下の7階には馬主が詰めているようで、競馬ファンにとってそこは夢のような場所だろう。


 「夏場は大型ビジョンで」

 施設見学で出走馬の下見ができるパドックとレーストラックをつなぐホースプレビュー(写真4)などを通った。騎手ら鞍上の重量を計測する検量室がそばにあった。
 メーンスタンドは晴天時に富士山が見えることから、フジビュースタンドと名付けられている。支社長の1人が広報部の職員に収容人員を聞いていたが、後日改めて電話で入場記録を尋ねたら、1990年の日本ダービーでの19万人余が過去最高という。
 春のGTレースの余韻を残しながら、現在は夏競馬に突入している。今週末28日には阪神競馬場での宝塚記念(GT)が開催されるなど、中央競馬は主要レースを東京競馬場から阪神、福島、札幌の各競馬場に移している。
 東京競馬場は秋までレースがなく、週末に場外発売として施設を開放している。都内にも場外施設は数あるが、ここでは大型ビジョンでの観戦が魅力のようだ。


 「家族連れでもいいんだ」
フジビュースタンド(JRA提供)


 場内に競馬博物館があったが、その時は夕刻が迫っていて寄らずに帰った。
 およそ20万人を収容する巨大施設。アミューズメント機能も充実している。レストラン街や軽食、売店のほか、遊具にアスレチック、馬車の試乗や乗馬体験などがあり、家族連れで楽しめる。

 公営ギャンブル。まゆをひそめる向きもあるが、競馬場がもたらす地域経済への恩恵、波及効果は絶大なものがあろう。
 さまざまな娯楽、遊興施設があって、そこに人が集うのもまた都会の現実。単身は自由な半面、いたずらにそうした誘惑にかられないよう自制心が必要だ。
 

 「ウオッカは名馬だ」

 
競馬を奨励するつもりはないが、かじると難しさを痛感する。
 競馬好きな人はパドック(写真5)で出走前に馬体の張りや毛艶などで好不調を確認する。高揚して入れ込む馬は敬遠されがち。それは競走馬の宿命で、騎手の抑えをきかずに先走っては消耗し、ゴール前で伸びを欠くからだ。騎手の技量もあるが、馬にもレース経験が必要で、年齢が目安にもなるのか。
 それに脚質。先行逃げ切りとか、追い込みといったそれに、外とか内とか、出走する枠順によって騎手同士の駆け引きが微妙に絡んでこよう。
 当日の天候も気になるだろうし、それらを踏まえて予想するのが競馬の醍醐味かもしれない。
 この春、ウオッカが注目を集めた。結果でいえば、ウオッカは今春の2勝でGT6勝、獲得賞金10億円という最強牝馬の称号を不動のものにした。5歳馬だが、馬主の意向で今秋のレースを最後に引退するとか。ファイナルレースは熱くなるに違いない。

 「この前ウオッカで取ったじゃ。ビギナーズラック? ガチガチの本命だったんだ。スポーツ紙に『鉄板』と書かれてあって、アダマは堅いと決めてさ。でも投資が少ないから勝ちもわんつか。ラーメン何杯食べられるべ。博才ないんだ」     
万年青年Y


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