東京雑感   都会のワンちゃんだぢ 2007.2.28

 「犬まで寒がり?」
 都内で週末・祝日を歩行者天国にする商店街は多い。銀座でも三越や松屋前の路上でワンちゃんたちがさも気持ちよさそうに散歩する光景
とってもおーしゃれっ!)
には心が和む。周りの人々に愛きょうを振りまいたり、妙にコミカルだったりで笑みがこぼれる。
 暖冬なのに一様に犬用シャツなど胴衣を着て、なかなかにファッショナブル。リボンがまたかわいい。飼い主の趣味だろうが、テリアなどはツーンとおすましている。
 主役の彼女(彼)らはほとんど例外なく血統書付きのブランド犬で、雑種にはお目にかかれない。雑種犬は病気に強いんだけどね。
 
 「話し掛けたんだじゃ」
 都会でのペット生活はどんなものだろう。向こうにいる時は銀座で犬を散歩させる人がいるなんて考えもしなかったし、大東京で犬や猫がどうしたとか、そんな発想はなかった。なのにどうしたことか、自分が住むマンションで犬が飼われていたのを知ってから、やけに気になるのだ。
 昨年の秋、深夜だったが、住んでいるマンションの前にビーグルを連れた住人がいた。
若い女性が散歩の帰りらしく、つい「元気だな。お前」と犬に話し掛けた。
初対面の見知らぬオヤジに声を掛けられたこのビーグル、上目遣いに白黒させた。「あなた、どこの誰?」とでも言いたげに。

 「わが家も飼ってるだ」
 弘前の自宅で犬を飼っているせいで、犬と会話する“癖”があることに気づいた。それも他犬、いや他人の犬に。身勝手で一方的に話し掛けては相手も迷惑と思い、今は自重している。
 その翌日、妻に電話をかけた。「ラン(愛犬の名前)どうしてる? 元気?。散歩している?」。用件は犬のことばかりだった。 飼い主にとってペットは家族同然なわけで、都内のマンションなんかでも「ペット可」の物件が目に付く。
 ここだけの話だが、ペットを禁じでいるところでも、犬や猫を飼う入居者を見て見ぬふりをするとか。築年数が経っている建物ほど空室をつくりたくないだろうし、特段、他に迷惑がかからなければいいと目をつむっているのかもしれない。

 「ドッグランって?」
 駒沢オリンピック公園にドッグランがあると聞いて出掛けた。犬を走らせているのかと思った
愛犬談義に花を咲かせる
主婦(?)たち
ら、めぐらせた柵の中で愛犬家が犬を放して遊ばせている。
 そこはブランド犬の博覧会で、じゃれあったり、おびえて飼い主から離れないなどさまざま。どこから来るのか、バイクの荷台に犬用の檻を付けてやって来る人も。ファミリーや若いカップルなどが一定時間、犬を遊ばせては帰って行く。
 行き帰りに園内でかわいいワンちゃんを見つけては何枚か撮らせてもらった。「いやぁ、きれいにしていなくてね」。初老の男性が謙遜しながら即座に承諾するなど、みな快く撮影に応じてくれた。自慢のワンちゃんばかりで、愛情が伝わってくるようだった。 



 「娘の次にめごいじゃ」
 ところで、わが家の犬は今年10歳になる。県営住宅住まいだったころ、娘が犬を飼いたいというので、清水の舞台から飛び降りる覚悟で家を新築。その翌年に飼ったのだから、今では家族の一員になっている。
 種類はシェットランド・シープドッグ。舌をかみそうで、愛称のシェルティーで分かるらしい。1年で人間の7歳分年を取るというドッグイヤー。老犬の部類に入るが、正月に帰省した時には雪道を以前と変わらぬペースで散歩をしたし、老いを感じさせない。若づくりの主人に合わせたのかもしれないが、元気なので胸をなで下ろした。高齢社会。「人も犬もまみしぐ生きたいもんだね」。 
万年青年Y


ブランド犬ばかりが目に付いたうわさのドッグラン
 

もくじ