東京なりゆき通信2016 vol.10 マスター 2016.6.29

 新宿の「音楽酒場ノアノア」のマスター関登代雄さんが6月いっぱいで引退します。東京に赴任し、居酒屋でもない、スナックでもない、クラブでもない、これぞ酒場! という表現がぴったりなお店で楽しいひとときを過ごせたことに感謝したいと思います。

 関さんはおよそ50年マスターを務めたそうです。その50年のうち、わずか1年ちょっとのお付き合いでしたが、随分親切にしていただきました。
 東奥義塾高校の卒業生。東義と言えば、かつては陸奥新報本社の隣にあった高校です。今は郊外に移転してしまいましたが、関さんも当時隣にあった新聞社ということなのでしょう、赴任当初からいろいろと気遣って声を掛けてくれました。東義OBがうちに多いのもその理由の一つだったかもしれません。

 東京塾友会、ふるさと藤崎会などの総会では、ノアノアが二次会というのがお決まりのコースでした。赴任当初、銀座も新宿もさっぱり分からない私でしたが、誘われるまま新宿の二次会に出向き、これまた請われるまま吉田拓郎の「落陽」まで歌ってしまいました。カラオケにドラムやベースといった生演奏が加わり、単なるカラオケではない、カラオケを超えた「ステージ」を経験することができたのです。

 マスターの関さんは見た目通り穏和な方です。傍から見ていると「目立たないよう、目立たないように」と、あえてそうしているかのような方です。古里団体の総会・懇親会に出席しても、お店の準備があるのでしょう。大抵は途中で姿が見えなくなります。そしてノアノアに行くとしっかりお客を迎え、楽しませてくれるのでした。

「ノアノアさよなら感謝祭」であべさとこさん母子らとステージ立ち、
出席者に感謝する関さん(中央)

 6月26日、そのノアノアで、青森市出身のソプラノ歌手あべさとこさんのライブ「ノアノアさよなら感謝祭」がありました。限定50人。入りたくても入れない人も少なくなかったと思いますが、あべさんとのお付き合いもあり、私も限定の1人になることができました。声量のあるあべさんの歌、あべさんと本当にそっくりそのままの母親・阿部のり子さんのゲスト出演など、最初から最後まで楽しいライブでした。

 関さんもマイクを握り、見事な歌声を披露しました。関さんの歌を聞いたのは初めてでした。テンポのいい「青春時代」などの熱唱を聞いて、さすが、音楽酒場のマスターだなと感動しました。
 
 どこかの会合の席だったと思います。関さんがこそらっと寄ってきて「成田さんが書いているんでしょう?」と聞いてきました。多分陸奥新報1面のコラムのことを言っているのだと思いましたが、そのコラムには記者の署名がありませんので、普通は誰が書いているのか分からないはず。まあ、首都圏の話題が多いから自ずとそれと分かってしまうのでしょうが、「読んでいますよ。いいですね」と言ってくれました。東京で陸奥新報を読んでくれている。実にありがたい言葉でした。
 
 感謝を込めて今回もカラオケ。にぎやかにジュリーの「勝手にしやがれ」です。ライブのゲストだったギタリストがアドリブでドラムをたたき、盛り上げてくれました。でも今思えば、最後に「勝手にしやがれ」はなかったかな? すみません!
 
 「2、3年たったら津軽に帰りたい」。そう言っていた関さん。東京でもまたお会いするかとは思いますが、そのうち古里弘前でも楽しいひとときを一緒に過ごせたらと思います。関さん、いろいろ、ありがとうございました。


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