東京なりゆき通信2016 vol.6 2016.3.28

  大好きなアーチスト井上陽水に「桜三月散歩道」という歌があります。日本レコード史上初のアルバムミリオンセラーとなった伝説のアルバム「氷の世界」に入っている、アコースティックギターの音色が切ない名曲です。この歌にはせりふがあり、それが嫌でコンサートではほとんど歌われて来なかったという、これまた伝説の歌なのです。

 ちょうど1年前。陽水が「氷の世界40周年」と銘打ったコンサートを弘前で開きました。東京転勤が決まって引っ越しやら引き継ぎやらで、ばたばたしていたのですが、陽水のコンサートに行かないわけにはいきません。そこで初めて生で「桜三月散歩道」を聴いたのです。いやあ、良かったなあ!
 
 さて、前置きが長くなりましたが、3月に桜が咲くなど、桜と言えば弘前公園しか思い浮かばない私にとって、考えられぬことでした。それが1年前赴任した時にはもう桜が散り始め、靖国神社での花見に出席した時は桜がひらひらと舞い落ちるはかなさに出合い、「これが東京の桜か」と思ったものです。
これが皇居乾通りです
 
 その直後に県人会の合同観桜会があったものの、桜は散ってしまい、しかも朝からあいにくの雨。というわけで今年こそ東京の桜をしっかりめでたいと、今春は気合いが入っているのです。
 
 21日に開花宣言が出されてからも花冷えが続いた東京。その中で25日からは皇居乾通りの一般公開が始まりました。早速、出掛けてみました。
 
 ところがです。「乾通り=乾門」と思い込んでいたために大失敗。電車を乗り継いで目指したのはもちろん乾門ですが、実は乾門は出口で、一般公開入り口は坂下門だったのです。皇居の位置関係がよく分からず、乾門で親切な警察官に教えていただいた通り、東御苑を通り、いったん大手門から出て、大きく回りながらようやく坂下門に着いた時は、すっかりお疲れモード。それでも、手荷物検査、身体検査の列に並びながら、呼吸を整え、いざ、乾通りへ。
早咲きの桜は見頃なものもありました

 
 いやあ、皇居に入ったのは中学校の修学旅行以来ですかねぇ。と言ってもほとんど記憶がないので(本当は行っていないのかもしれません)、実質初めてのようなものです。これが宮内庁か、あっちが御所かなと、きょろきょろしながら進みました。
 
 残念ながら桜はまだちらほら咲いているだけ。ソメイヨシノは1分咲きでしょうか。それにしてもお堀と桜、実に風情のある風景です。ここにある桜は75本だとか。弘前公園の2600本に慣れているため、そんなもの? と思ってしまいますが、満開になればさぞ見事でしょうね。ただ乾通りはわずか750b。歩くとすぐ出口なのです。「ここまで来るのにあんなに歩いたのに…」。歩数計は既に1万歩を超えていました。でも、3月に桜が見られたし、皇居に入ったし、よく歩いたし。良きかな、良きかな!
 

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