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「寅さん」に会いに行ってきました。そう、映画「男はつらいよ」、葛飾柴又のフーテンの寅さんに、です。この夏、気温35度以上の猛暑日連続8日間という、酷暑新記録が生まれてしまった東京都心。私が訪れた日も相当に暑かったのですが、映画同様に「帝釈天」参道の皆さんは人情に厚く、汗だくの私をいろいろ気遣ってくれました。さすが寅さんのロケ地です。寅さんはじめ、
柴又には「寅さん記念館」と「山田洋次ミュージアム」があるのです。記念館には映画撮影に使われたあの「くるまや」のセット、タコ社長の朝日印刷所、資料展示コーナーなど、ミュージアムには山田洋次監督が作った映画や監督の人生観が分かる資料が展示されています。 記念館とミュージアムは向かい合わせであるそうです。柴又駅を降りてまず向かったのは帝釈天参道。情緒あふれる参道には寅さんグッズ、関連のお店が軒を連ねます。ちょうどお昼時、第1作のロケが行われた団子屋さんの「とらや」に入り、冷たいおそばを頼みました。映画のおばちゃんよりはちょっと若い? おばちゃんたちが「はい、冷たいお水ね」「はい、おしぼりよ」など、駅から歩いただけで既に汗だくの私を不憫(ふびん)に思ったのか、いろいろ世話してくれました。
さて、寅さん記念館まではもう少し歩かねばなりません。とらやで飲んだ水は既に汗となり、タオルで汗をぬぐいながらようやく記念館に到着。入り口にはミストがあって、眼鏡が濡れてしまいましたが、それは、それは、気持ちよかったです。これもおもてなしの一つなのでしょうね。 中に入った途端、寅さんの世界が広がります。「くるまや」のセットを眺めながら、ここであまたの名場面が生まれたのだと思い、「ジ〜ン」。
そのようなことをつらつら考え、映画ポスターの前でしばらく座っておりました。
帰り際、記念館のスタッフの1人から「きょうは暑いですから、これ持っていってください」とうちわをいただきました。丁寧にお礼を言い、そのうちわをあおぎながらしばらく歩き、途中でお土産の団子を買い柴又駅へ。なかなか電車が来ず、駅にたたずんでいるうちに、さくらに見送られながら電車に乗る寅さんの姿が思い浮かびました。 「世話になったな、さくら。達者で暮らせよ」「おにいちゃん、今度はいつ帰って来るの?」「そうさなあ…」という声が電車の音にかき消される。この駅でそういう別れがいくど繰り返されたのでしょう。 「わたくし生まれも育ちも葛飾柴又です。帝釈天で産湯を使い、姓は車、名は寅次郎。人呼んでフーテンの寅と発します」。帰りの電車の中、その渥美清さんの口上がしばらく耳から離れませんでした。 ふと、どこからか声が…「お前、遊んでばかりいて、仕事はちゃんとしてるんだろうな」。痛いところを衝かれましたが「それを言っちゃぁ、おしめぇよ」。 |
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