【携帯エッセイ】
 スミマセン?一夜干しのキスうれきれです 秋 元 謙 治


ふるさとのとある県人会に出席するときは、前夜祭付きでの大宴会になっている。
田舎町の役場のふとど前日から浅草さ泊まり込みで飲んでいるのだ。
まあ、そんな日のために平日は晩酌をやめて節制しでいるのだ。

ただその反動か、近頃のわの飲みざゃまは、しかどごほいど飲みだねな、
とりあいずビールだばって、「一回に大ジョッキ二つもってこいじゃ」だねろ。

きなも平渕課長ど岩田副主幹ど呑んだじぎや、わは「とりあえず大ジョッキ2つ」頼んで、平渕課長は「中生1つ」頼んだばって、若げ岩田副主幹は、なんも頼のまねだねな。
とごろが何気ねくわねだがら、この岩田副主幹わ頼んだ大ジョッキ2つがら1つ横取りして飲んでまた。

「あらなしね、わのビール呑むだば、わ ビール 一口で飲んでまるはんで2つ頼んだだね、このツボケこの」って叱ったきゃ、「なんも、秋元さんわのじも頼んでけだどもったじや」。
「まだまだわのことしらねもな、これがら付き合いながぐなるだはんで勉強しねばまねや」とガッツど叱っておいだ。

その時だ。
MEGUMI似の可愛い店員が片言で、「スイミセン?一夜干しのキスうれきれです」と、岩田副主幹に話していた。
つかさずほいど飲んべえが口をはさんだ。
「それじや生のキスありますか?」の問いに目を丸していたMEGUMI似に、おじさんは悪乗りして続けた。
「あったらこごさしてけへ」と、なまった唇を向けたのでした。


そのさまに岩田副主幹は「エーッ!!」と叫んだ。
二度と飲みに付き合ってはくれないだろうな。