多田野 フー子
☆ハルさんの日常茶飯事
ビギナーズ ラック 《前編》


ハルさんは、誘われたら断れない性格である。

誘われた瞬間、その分野に急に興味がわくお調子者タイプでもある。

一緒にハイキングに行く女友逹に競走馬の走る美しさやゴール前の
緊迫感を力説されるうちに一度くらいは競馬場に行ってもいいかなぁと
思いだした。

行くと決めたら、居ても立っても居られないハルさんである。
ネットで競馬を検索していたら、「ビギナーズ セミナー」なるものの
存在を発見。

競馬開催中は、全国の競馬場で毎日、無料で行われているとのことである。
予約もいらないらしいので参加を決めた。

ハルさんの競馬デビュー日、昼食の約束をして友人とは競馬場正門の
インフォメーションでひとまず別れ、ハルさんは、「ビギナーズセミナー」を受講へ。

このセミナーは、馬券の買い方、競馬新聞の読み方を親切丁寧に教えてくれて、パドック見学やレース見学も案内してもらった。

この日は、受講者が多くなかったためか、馬主さん専用のVIP室に特別に入れてもらえるという嬉しいおまけ付き。

競馬場に到着直後こそオドオドしていたハルさんだったが、セミナー講師のわかりやすい説明と場内ツアーのおかげで、立ち回り方も習得した。

耳に鉛筆をはさんだ諸先輩方の邪魔にならないように、
人波をスイスイ進んで行くハルさんである。

友人と合流し、馬券を購入。友人のアドバイスにより各レース、馬券を買う。
買ったほうが、俄然真剣にレースを見れるというのである。

さあ、馬券も買ったし、あとはレースが始まるのを待つだけだ。

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