多田野 フー子
☆ハルさんの日常茶飯事
麺棒と吹き矢とダイエットと


ある休日の午後、最寄り駅で、買い物をしていたハルさん。
どこからともなく「ハルさん。」と呼ぶ声がした。
誰だろうと、声のする方向に顔を向けた。

「ハルさん。お久しぶりです。」


そこには、30歳くらいの女性。
身長は170センチ、体重は45〜6キロくらい。
色白で顔がちっちゃくて、サラサラのショート・ヘアー。

そして、こぼれる笑顔。


ハルさん(…、はて?…。
この美しい女性は誰?。)


「ハルさん。私です。
以前、会社でお世話になったヒロミです。」

ハルさん「えぇ…? ヒロミ…ちゃん?
ヒロミちゃん、印象が変わってわからなかったわ。

私の知ってるヒロミちゃんは、もう少し…(ぽっちゃりしてたから…。)」

ヒロミ「私、腰痛がひどくて、お医者さんから体重を減らすように言われていたんです。
それで20キロ落としました。」

ハルさん「えぇ〜、20キロも? 
どんなダイエットしたの?。とっても気になるわ。
立ち話もなんだし、ヒロミちゃん、時間があったらお茶でもしない?
詳しく教えてよ。」


というわけで、コーヒーショップへ。

ヒロミちゃんは、以前、隣の部署で働いていた。
体調を崩して退社したと聞いていたが…。
そういえば、いつも夜遅くまで残業をしていたっけ〜。


「○クロビオディックの本を買って、載っていたレシピを片っぱしから作ってみました。
あまり手をかけ過ぎないように工夫して、お弁当も自分で作っていました。
そのうちに少しずつ体重が落ちてきて、2年間で20キロ減りました。
今では、体調もすっかりよくなりました。」


「運動は、なにかしたの?」

「いいえ。
特にハードな運動は何もしませんでした。

あっ、でも、麺棒で身体中をこすりました。
お腹とか、太ももとか、お尻とか…。」

「麺棒?
なぜ麺棒なの?」

「たまたま、テレビを見ていたら、麺棒で身体をこする健康法をやっていたんです。
ラップの芯でも効果があるらしいので試しにやってみたら、そのうちセルライトで、でこぼこだった太もものがスッキリしていました。

最初はね、すごく痛いんですよ。
だから、そっと撫でる感じでやっていました。
テレビを見ながらコロコロって。」

「それと、吹き矢を習っています。
これもテレビで見て教室に通い始めました。」

「吹き矢?」

「スポーツ 吹き矢っていうんです。
ダーツの吹き矢バージョンと考えると想像しやすいと思います。
けっこう腹筋を使うので、ウエストも締まってきた気がします。」


その後もダイエット談義に花が咲き、時間を忘れて話し込む二人だった。


「麺棒か〜、早速やってみよう。健康診断も近いし…。」
始める前から、自分のほっそりしたウエストと太ももを想像して、一人でニヤニヤが止まらないハルさんだった。

                                              

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