多田野 フー子
☆ハルさんの日常茶飯事
小さな「バクダン…」


いつもハッピーなハルさんだが、今日は特にご機嫌である。

昨日からとても待ち遠しかった。どのくらい楽しみにしていたかというと、小学校の遠足の前日くらい。


昨日、隣の部署のマキさんから昼食のお誘いがあった。

マキさん「ハルさん、明日のランチをご一緒にいかがですか。」

ハルさん「もちろんよ。」

マキさん「では、お昼のお弁当は私が作ってきますね。」

ってことで、昨日からランチタイムをこころ待ちにしていた。



そしてお昼時間がやってきた。

マキさんとは、気があって仕事以外でもよく食事をする仲だ。
大学生の娘がいるのも共通点である。


「はい。これがハルさんのお弁当。」

渡されたのは小ぶりの手提げ紙袋。
中の花柄の紙袋を開けるとアルミ箔に包まれた「おむすび」が二個。
小ぶりの容器に入った「菜の花のごま和え」とプチトマト。
プチ○ノンのヨーグルト、大人のたけの○の里、
フォークとスプーンとウエットティッシュ。

ハルさん「わっ〜。まるで遠足〜。」

まずは、アルミ箔を開く。海苔が巻かれたおむすびを一口、ぱくり。
「あれ?  ぷりっぷりっとぷちぷち。二つの違う食感。磯の香りがする。
目をみはるほど、すご〜く美味しい。
これなんだろう。」

おむすびの中身をよく見るハルさん。

ハルさん「小エビに明太子、それと…ワカメ?」

マキさん「うふふ。高菜漬けを炒めたものよ。自分で味付けしたの。
うちの常備菜よ。」

ハルさん「自分で作ったの?」

マキさん「簡単よ。高菜の漬物を水で塩抜きしたら、細かく切って醤油、酒、ごま油を入れて、水分がなくなるまで炒めるだけ。最後にいりごまをふって出来上がり。」

ハルさん「今日は、早起きをさせてしまったわね。」


マキさん「そうでもないのよ。小エビは酒蒸しにして冷蔵庫に入れておくだけだし、菜の花はゆでて醤油、砂糖、すりごまで合えるだけ。全部前の晩に用意できるから、朝はおむすびを握るだけよ。」


いつもは、パリパリ海苔派のハルさんだが、これには絶対しっとり海苔が合う。

あれ、これに似たおむすびをどこかで見たことがある…。



(あっ、あれだ。


居酒屋にある、五種類とか七種類とかの具が入っている大きなおむすび。
爆弾おむすびっていったっけ…。

お口の中で何種類ものうまさが爆発しますって意味かな? )

無理やり名前をつけるとしたらマキさんの「小さなバクダンおむすび」かな。
(はぁ〜、そのまんまだ。)


上品であと引くうまさ。
お口の中でおいしさが弾けます。
何度でもいいます。
これは、うま〜〜い。


大人になると誰かの手作りのお弁当を食べる機会はぐんと減る。

マキさん、ごちそうさま。そしてどうもありがとう。

身体だけでなく、心もほっこりしました。

                                                    

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