Dandy?渡邊のCity日記 vol.9  もつけ全開 2013.3.22

毎度のことながら、お久しぶり〜ッ!! のDandy? 日記です。特に今回はインターバルが長くなってしまいました。景気が悪くて広告の売り上げがなかなか上がらないと言っては錆びついた知恵をしぼり、政権交代で世の中が明るくなったら「今だ。それ行け〜」とばかりに突進です。もともとは編集畑のDandy? もすっかり営業の人間になってしまいました。おかげさまで2013年第1四半期(1〜3月)は売り上げが好調なんですよ(どや顔)。
 
 運命の? 出合い
 
 何の因果なのか、雪かきの必需品サフロ(いや、スコップ)は酒飲みの必需品である栓抜きと出合い、岸千恵子の「千恵っこよされ」(特に激しい三味線の旋律部分)をこよなく愛した津軽のもつけ″kエ弘行の頭の中の消しゴム…じゃなく、パトランプを点灯させた。スコップは三味線に、栓抜きは撥(ばち)に生まれ変わり、津軽すこっぷ三味線が産声を上げた。今からさかのぼること30年近い昭和後期のことである。
 
 今や、本家本元の津軽三味線に劣るとも勝らない$l気の津軽すこっぷ三味線。一大ブームを築いたエアギターに代わってブレーク、五所川原市で毎年開いている世界大会は170人規模に拡大し、もはや伝統文化、芸術の域に達しようとしている。お笑い芸人の山崎邦正(落語高座名・月亭邦正)も参加し3位になったとか。山崎はお笑い芸人としては2流(ファンの方、ごめんなさい)だが、結構なお坊ちゃんでピアノも弾くし作詞作曲の才能もあるんですよ。
 
 五所川原市生まれの高橋は津軽三味線など全く弾けないにもかかわらず、姓が同じという理由だけで津軽三味線の大御所高橋竹山にあこがれ、ついでに生まれ育った近辺の地名を取って舘岡屏風山(たておか・びょうぶざん)と名乗った。今や押しも押されもせぬ宗家家元として、本人いわく全国に9000人の弟子(うち師範が8人)を持つという。
 
 行ってきました! 伝説のライブ
 

 3月15日、わ・五所川原会が都内新宿6丁目の「ノアノア」で開いた津軽すこっぷ三味線ライブに行ってきました。開演前、ステージ脇に置かれたひときわ派手な三味線(スコップ)にまず目が止まりました。大型のアルミ製サフロ? はアルミの銀色ではなく金色であるばかりか、木製の柄(え)の部分には見事な津軽塗りが施してあり、しかも「国宝申請(予定)」となっているではありませんか。
 
 家元とは面識がありませんでしたが、自分と同じにおいがする−とつがるのもつけ魂≠直感しました。やはり類(もつけ)は友(もつけ)を呼ぶんですかねぇ? 他の参加者も皆、もつけ(失礼!?)に見えました。
 
 いよいよライブの開演です。まず、家元が「3つの注意事項」と称したおふざけ≠フ話術で聴衆を引きつけ、続いて演奏前の調律ではもう大爆笑です。大阪人に言わせたら「弦のない、いわば打楽器で、なんでチューニングやねん」という感じですが、その芸の細かさがあってこそのすこっぷ三味線なのでしょう。
 
 これぞプロの技
 
 吉幾三の「津軽情話」で開演すると、家元の左手がネック上を激しく滑り、仮想の弦を押さえ、細かく弾きます。まさに本物の三味線奏者と見まがうばかりの早業に会場からは拍手喝采。また右手に持ったばち(栓抜き)は特製で湾曲しており、先端の「開き」の部分だけではなく、グリップエンドの「さいじり」でもたたけるのが特徴。これにスコップの柄の取り付け部にある溝を活用すれば、家元に言わせれば「16ビートどころか32ビートも可能」とか。もう神業の世界です。
 
 ベンチャーズのダイヤモンドヘッド、津軽じょんがら節、津軽の祭り三題と幅広いジャンルの曲を披露した後は、いよいよ参加者が家元に弟子入りです。実を言うとDandy? は、すこっぷ三味線初体験ではありません。20数年前、弘前に割烹「福住」がまだあったころ、某首長らとの宴席でやらされたことがあるんです。恐らく、屏風山家元が発案して間もないと思われるころで、すこっぷ三味線は瞬く間に津軽平野を駆け抜けて弘前に伝播していたんでしょうね。
 
 でも、その時は確か強制的に女装までさせられ、もつけの割にはノリがいいとは言えない質(たち)のDandy? は、嫌なイメージしかなかったんです。ところが、どっこい! だったんですね。これが…
 
 来た〜ッ! おもしぇ
 
 指名されるままにステージに進み弟子入りしたDandy? でしたが、最初はスコップを支える右脚の付け根部分にスコップの先端が当たるため、アルマーニ? の高級スーツ? ……ごめんなさい。見栄を張りました。青山のスーツです−が傷まないか心配でした。
 
 しかし、いざ演奏を始めると日ごろのシャイな姿はどこへやらで、何だか「たげ、おもしぇ(面白い)じゃ」と思わず母国′黶Bしまいにはスコップ片手に先頭を切って客席を回って演奏するなど、もうノリノリで、Dandy? の心の奥に眠っていたもつけ魂に完全に火がついたって感じでした。
 
 ちょっと待てよ! 以前、決して楽しいとは思わなかったすこっぷ三味線が好きになったということは、もしかして前は嫌だった女装にもはまる可能性がある??? いや、決してそういうことはありません。すこっぷ三味線だけですからね。「師匠から体験認定証ももらったし、もう絶対来年も参加して師範を目指すぞ!!」
 
 五所川原へ行ったら…
 
 舘岡屏風山家元は五所川原市寺町で、ライブハウス「ラヴポーション」を経営、また企業組合アドホックバリエーションが運営する同市金木町(いくぞうハウス)の体感劇場「津軽すこっぷ三味線快館」でも津軽伝統の楽器≠体験できます。師匠、お店の宣伝をしておきましたよ。陸奥新報にも広告ずっぱど出してくださいね!
 
 また、五所川原市内のホームセンターでは除雪用品コーナーで、スコップの隣に栓抜きも置いてあるらしいですよ。「うそだべぇ〜」というあなた、真偽の程は実際に出向いてご確認を。
 
 後日談
 
 大いに楽しませてもらったスコップ三味線ライブでしたが、鉄? 鉛? 製の素人向けのばち(大型栓抜き)を持ったDandy? は翌日から手荒れに悩まされています。思えば幼少のころから飲み物の栓を抜くのは婆や任せでしたし、あんなごつい鉄? の塊など持ったことがない自称・大鰐のお坊ちゃまくん≠ナすから、無理もありません。手荒れぐらいで大鰐出身の阿保義久さんが院長を務める北青山Dクリニックまで行くわけにもいかないし、あぁ、シロウオのような指が…
 
 舘岡屏風山師匠はライブの冒頭で言いました。「決して真面目に聞かないでください」。Dandy? も念を押します。「決して真面目に読んだ方などいらっしゃいませんね。ましてや最初に帰って読み返すなど決してしないでください」
                                   END


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