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2017.5.4
得意の絵で街を元気に 黒石市出身の中村さん 子どもの未来、古里へ思い込め
 
       
 子どもの未来のために得意の絵画で街を元気にしたい―。黒石市出身で埼玉県幸手市に住む建築家中村勝彦さん(74)は、自作の絵画を用いて街の活性化に尽力している。
同市に関する小中学生向け資料の挿絵作成、街なかでの作品展示など活動の幅は広く、地元で知られる存在だ。地域活性化が全国で求められている中、同じく活性化に奮闘する古里・黒石市への思いも胸に励んでいる。

「道徳のまち さって」を手にし、
大変だったが子どもたちに
喜ばれてよかった、と笑う
中村さん
 上京して50年以上、幸手市に住んで45年余りになる中村さんは建築事務所を東京都内に構えていたため、早朝に出勤して深夜に帰宅。地元と深いつながりを持つ機会を持てず、7年前に事務所を自宅に移したことを機に「地元に恩返ししたい」と考えた。

 仕事の傍ら画家としても活動していた中村さんは、時間を見つけては街の風景などをスケッチ。作品が地元小学校の校長室に飾られるほど地域に溶け込み、幸手市に関する小中学生向けの資料「道徳のまち さって」の表紙絵と挿絵の作成を市教委から依頼され、完成した資料は昨年3月に配布された。

 中村さんの自宅近くにある同市行幸小学校の柿沼栄寿校長は「わずか3カ月で描き上げてくれた」と感謝する。

 中村さんは同校の通学路に立つスクールガードリーダーを務めていることもあって、児童たちから慕われているといい、柿沼校長は「(中村さんとの交流が)素晴らしい校外学習になっている」と語る。

「アートさんぽ展」で来場者に自作の絵画を説明する中村さん(右)
 
さらに中村さんは、今年3〜4月に幸手市内で開かれた「アートさんぽ展」に風景画など作品25点余りを出展した。
 同展は、商店や寺社に飾った作品を鑑賞して街歩きを楽しんでもらうイベントで、地元への思いを込めた作品が並んだ。

 中村さんは「幸手が江戸時代に宿場町として栄えたことを思うとワクワクする。子どもたちにも、そんな思いを心に刻みながら街を見てほしかった」と思いを語る。

 出展作品の中には「まちに元気がないとお店もオイラも頑張れない!」とメッセージを発信したものも含めた。「黒石も江戸時代に城下町として栄えたので、幸手と共通するものを感じる」と中村さん。メッセージには黒石市へのエールも込めている。